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寿司の次に世界で伸びている和食は? 抹茶・和牛・カツカレー・味噌を数字で確かめる
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寿司の次に世界で伸びている和食は? 抹茶・和牛・カツカレー・味噌を数字で確かめる

海外の日本食レストランは2025年に約18.1万店と初めて減少。一方、抹茶を含む緑茶の輸出は721億円と前年の約2倍に。和牛、カツカレー、味噌の伸び方と、本物の選び方、海外に出る作り手のチェックリストを公的統計で

J-Times Editorial

J-Times 編集部 / J-Times Editorial Team

2026年4月26日更新: 2026年10月26日18 min890 閲覧
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海外の日本食レストランは2025年に約18.1万店と、調査開始以来はじめて減った。一方で農林水産物・食品の輸出は1兆7,005億円と13年連続の過去最高。伸びているのは抹茶を含む緑茶(721億円、前年の約2倍)、牛肉、味噌や調味料。英国で日本食になったカツカレーの経緯、本物の選び方、海外に出る作り手のチェックリストまで。

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答え(2026-10-26時点):いちばんはっきり伸びているのは抹茶です。抹茶を含む緑茶の輸出額は2025年に721億円と、前年の364億円からほぼ倍増しました。牛肉(731億円)や味噌・醤油などの調味料も過去最高を更新しています。一方、海外の日本食レストランは2025年に約18.1万店で、農林水産省の調査で初めて減りました。「第二波」は特定の一品というより、店で食べる和食から、家庭やカフェで使われる和の食材へと、広がり方が変わってきた動きと見るのが実態に近いでしょう。

この記事は、2026年4月に公開した同じ題材の記事を全面的に書き直したものです。旧版にあった「海外の日本食レストランは19万店超え」「A5和牛の輸出は300トン」「スターバックスの抹茶ラテは年5億杯」「CoCo壱番屋はヨーロッパに50店舗」といった数字は、公的な統計や企業の資料で確かめられないか、事実と異なっていたため、確認できた数字に置き換えるか削りました。数字にはすべて時点を添えています。

寿司とラーメンが世界の街角に定着したあと、次に何が来るのか。その答えは、レストランの看板よりも、輸出の統計と、海外の家庭の台所に表れています。農林水産省、JETRO(日本貿易振興機構)、各府県の資料をもとに、いま何がどこへ、なぜ伸びているのかを確かめ、海外で「本物」を選ぶ方法と、海外に出たい作り手のための手順をまとめます。

海外の日本食レストランは増え続けている?

増え続けてはいません。農林水産省の調査では、2025年の海外の日本食レストランは約18.1万店で、2023年の約18.7万店から約6,000店減りました。2013年の調査開始以来、初めての減少です。

農林水産省は外務省の協力を得て、2年ごとに海外の日本食レストランの数を調べています(現地で「日本食レストラン」として扱われている店が対象)。

調査年店数(概数)
2013年約5.5万店
2015年約8.9万店
2017年約11.8万店
2019年約15.6万店
2021年約15.9万店
2023年約18.7万店
2025年約18.1万店

地域別に見ると、減ったのはアジアだけです。アジアは約12.2万店から約11.2万店へ約1割減り、農林水産省は中国の経済停滞の影響などを理由に挙げています。北米(約2.9万店)と欧州(約1.9万店)はほぼ横ばいで、中南米は約1.3万店から約1.5万店へ約2割、中東とアフリカもそれぞれ約2割増えました。中南米の伸びについて、同省は日本のアニメなどの影響による需要の増加を挙げています。アニメと食の関係はアニメはいかにして世界を征服したかも参考になります。

日本食の業界紙・日本食糧新聞は、この減少を人気の陰りではなく、市場が「量」から「質」へ移る過程と見る見方を紹介しています。店の数だけで和食の広がりを測る時代は終わりつつある、ということです。

輸出では何が伸びている?

2025年の農林水産物・食品の輸出額は1兆7,005億円(前年比12.8%増)で、13年連続の過去最高でした。品目では緑茶、牛肉、味噌・醤油などの調味料が過去最高を更新しています。

農林水産省が財務省の貿易統計をもとにまとめた2025年の品目別の数字から、和食に関わるものを抜き出しました。

品目2024年2025年前年比主な輸出先(2025年)
緑茶(抹茶を含む)364億円721億円+98.2%米国、ドイツ、英国
牛肉(加工品を含む)648億円731億円+12.8%米国、台湾、香港
日本酒—458.8億円+5.6%中国、米国、香港
ビール—262.6億円+24.8%韓国、中国、台湾
醤油—134.9億円+10.7%米国、中国、韓国
味噌—71.4億円+13.1%米国、オランダ、英国

旧版は「日本のクラフトビールがカリフォルニアを中心にブーム」と書きましたが、統計を見るとビール輸出の4割は韓国向けで、米国向けは4.5%にとどまります。クラフトビールだけを切り出した公的な数字は見つからなかったため、この項目は削りました。

抹茶はなぜ、いま世界で足りないのか

抹茶の原料「てん茶」の生産は10年余りで約3.2倍に増えましたが、海外の需要の伸びに追いついていません。緑茶の輸出額のうち約8割は抹茶を含む粉末状のお茶で、2026年1〜8月も674億円と前年を上回るペースです。

農林水産省の「茶をめぐる情勢」(2026年10月)によると、抹茶は、茶摘みの前に2〜3週間ほど茶園を覆って日光をさえぎる「覆下(おおいした)栽培」で育てた葉を蒸し、揉まずに乾かした「てん茶」を、茶臼などで細かく挽いたものです。てん茶の生産は2025年に2014年の約3.2倍まで増え、産地は鹿児島県が全国1位、京都府が2位、静岡県が3位です。荒茶の価格はてん茶がせん茶の約4.9倍と、手間に見合った値がついています。

輸出先では米国が293.4億円(前年比82.6%増)と全体の約4割を占め、英国向けは46.8億円と前年の約5倍になりました。EU向けも139.4億円と倍増しています。2025年には、京都・宇治の茶舗で観光客の購入に個数制限を設けた店があったことや、猛暑で収量が落ちたことが海外メディアで報じられました。

京都府宇治市の覆下茶園。茶の木の上に覆いを掛けるための棚が組まれ、黒い被覆資材は巻き上げられている
京都府宇治市の覆下茶園。茶の木の上に覆いを掛けるための棚が組まれ、黒い被覆資材は巻き上げられている
写真:ブルースパイダー / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(2024年9月23日撮影)

なぜ抹茶なのか。日本の茶の湯は、一服のお茶を点てて客をもてなす時間そのものを大切にしてきました。海外では、それが「健康によさそう」「色が美しい」「カフェで気軽に飲める」という入口から広がっています。入口は違っても、手間をかけて育てた葉を挽いた一杯であることは変わりません。産地の農家にとっては、覆いを掛け、摘み、てん茶に仕上げる作業が増えることでもあります。

抹茶を選ぶ・点てるときのコツ

  • 原材料を見る。 抹茶の原料はてん茶です。「緑茶(粉末)」とだけ書かれた商品は、せん茶を粉にしたものの場合があります
  • 「ceremonial grade」は日本の公的な等級ではない。 京都の老舗茶舗・一保堂は、この言葉は海外で抹茶を売るために生まれた表現で、日本では使わないとしています。等級の名前より、産地、製造者、製造年月日を確かめましょう
  • 小さな缶を選ぶ。 抹茶は光、湿気、熱、においに弱いお茶です。開けたら密閉して冷暗所に置き、早めに飲み切ります
  • 点て方の基本(京都府茶業研究所)。 ふるった抹茶を茶杓2杯(約2グラム)、70〜80度に冷ましたお湯を70ミリリットル。少量のお湯で練るように溶いてから残りを注ぎ、茶筅を前後に細かく動かして泡を整えます。茶杓がなければティースプーン軽く1杯で約2グラム、茶碗はカフェオレボウルでも代用できます
  • 料理用と飲む用を分ける。 お菓子や料理には、色や香りの強い手頃なものを。そのまま飲むなら、少し良いものを少量で

茶の湯の考え方は、日本食は寿司・ラーメンだけじゃない——引き算で真実だけが残る美学でも触れています。

和牛:海外の「WAGYU」と何が違う?

日本で「和牛」と表示できるのは、黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の4品種とその交雑種で、国内で生まれ育ったことが確認できる牛に限られます。海外で育てられた「WAGYU」は、日本の和牛とは別物です。

JETROによると、1970年代から90年代にかけて和牛の遺伝資源がオーストラリアや米国などに持ち出され、海外で生産された「WAGYU」が流通するようになりました。日本では2007年以降、品種と国内での出生・飼育を確かめられなければ「和牛」とは表示できず、2017年には海外の「WAGYU」と区別するための「和牛統一マーク」も新しくなっています。

輸出額は2025年に731億円(加工品を含む、1万2,628トン)。主な輸出先は米国(154.4億円)、台湾(132.8億円)、香港(95.2億円)でした。旧版の「A5和牛の輸出が300トンで10年前の40倍」は、等級別の輸出統計が存在せず、確かめられなかったため削りました。

本物の和牛を選ぶには

  • 日本国内で買うとき:パック詰めの牛肉には10桁の個体識別番号が表示されています。家畜改良センターの「牛の個体識別情報検索サービス」に入力すると、品種や、いつどこで生まれ育ったかを確かめられます
  • 海外で食べるとき:メニューの「Wagyu」だけでは産地はわかりません。「Japanese Wagyu か、どこの国で育った牛か」を店に尋ね、日本産なら和牛統一マークや輸出証明の有無を聞いてみましょう
  • 等級の見方:日本食肉格付協会の規格では、A5の「A」は一頭から取れる肉の割合(歩留まり)、「5」は霜降り、肉の色つや、締まり、脂の質を合わせた肉質の等級です。「おいしさ」の唯一の物差しではありません。赤身の多い褐毛和種や日本短角種を選ぶのも一つの楽しみ方です

カツカレーはなぜ英国で「日本食」になったのか

英国でカツカレーを広めたのは、1992年にロンドンで創業したチェーン「ワガママ(Wagamama)」でした。日本企業ではなく、英国で生まれた日本風チェーンが、日本の家庭料理を英国の定番にしたのです。

JETROロンドン事務所の資料(2026年2月)によると、ワガママは1992年創業で、現在は172店舗。カツカレーやラーメンを看板にしています。英国では寿司のItsu(83店舗)やKokoro(77店舗)など、日本人以外が創業した日本食チェーンが大きく育っており、英国の日本食レストランは1,823店(2025年)です。一方、日系の外食チェーンで英国に10店舗以上を構えるところはまだありません。CoCo壱番屋の英国の店舗は2018年からの2店舗、丸亀製麺が9店舗です。旧版の「CoCo壱番屋などがヨーロッパで50店舗超」は、この資料と合わないため削りました。

スペイン・マドリードのワガママで出されたカツカレー。英国発のチェーンを通じて、日本の家庭の味が欧州に広がった
スペイン・マドリードのワガママで出されたカツカレー。英国発のチェーンを通じて、日本の家庭の味が欧州に広がった
写真:Triplecaña / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(2017年8月撮影)

おもしろいのは、カレーの旅の道のりです。農林水産省の郷土料理データベースは、明治時代に脚気に悩んでいた日本海軍が、英国海軍の「カレー風味のシチュー」にとろみをつけて取り入れたという説を紹介しています。インドから英国へ、英国から日本へ、そして日本風のカツカレーとして英国へ。英国のスーパーにはカツカレー味の商品が並ぶほどになりました。日本のカレーが「甘め、とろみがある、ご飯にかける」料理として受け入れられたのは、こうして一度、日本の家庭の台所を通ったからです。

味噌・醤油:レストランから家庭の台所へ

2025年の味噌の輸出は71.4億円(2万3,825トン)、醤油は134.9億円で、どちらも米国向けが最多です。カレールウやドレッシングなどを含む「ソース混合調味料」は721.5億円と、緑茶並みの規模があります。

味噌の輸出先は米国(21.2億円)に次いでオランダ、英国、台湾、カナダで、EU向けは全体の約2割(14.9億円)です。調味料は、レストランに行かなくても家で和の味を試せる入口です。和食の味の土台については、うま味とは何かや麹×発酵×旅で詳しく書いています。

味噌。大豆と麹と塩を発酵させてつくる、和食の味の土台の一つ
味噌。大豆と麹と塩を発酵させてつくる、和食の味の土台の一つ
写真:publicdomainq.net / Wikimedia Commons / CC0(2013年8月撮影)

海外で味噌を使い始めるなら

  • まずは味噌汁から。だしをとり、具に火が通ったら火を弱め、味噌を溶き入れて煮立たせないのが基本です
  • 白味噌(甘め)と赤味噌(塩気と香りが強い)で性格が違います。迷ったら、両方を少しずつ合わせる「合わせ味噌」から
  • 開封後は冷蔵庫へ。表面が乾かないよう、ラップを密着させます

なぜ今、和の食材が伸びているのか

理由は一つではありません。2013年の「和食」のユネスコ無形文化遺産登録、訪日客の増加、健康志向、そして海外の人が自分の台所で和食を試せる環境が整ったことが重なっています。一方で、アジアの店数が減ったように、景気の影響も受けます。

  • 和食への関心:2013年、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。農林水産省は、一汁三菜を基本とする食事が栄養のバランスをとりやすいことや、季節の行事と結びついてきたことを和食の特徴に挙げています
  • 旅の記憶:訪日客は2025年に4,268万人と過去最多でした(日本政府観光局の推計)。観光庁の訪日外国人消費動向調査では、訪日前に期待していたことの1位が「日本食を食べること」で、2022年は78.3%でした(2019年も69.7%で1位)。日本で味わった味を、帰国後に家で再現しようとする人が、調味料や抹茶の需要を押し上げています
  • 家で試せる環境:英国のスーパーにカツカレー味の商品が並び、欧米のカフェで抹茶ラテが定番になったことで、和の味は「特別な日の外食」から「日常の台所」へ入ってきました
  • 為替:円安は日本産の価格を海外で相対的に下げますが、為替は変わるものです。為替だけを頼りにした輸出計画は長続きしません

旧版にあった「日本食=健康が医学的に証明されつつある」「市場は10兆円以上」は、根拠となる資料を確認できなかったため削りました。

海外に出たい作り手・店のための7つのチェックリスト

伸びている品目と地域を数字で選び、現地の規制と表示を確かめ、名前と品質を守る仕組みをつくり、相手国の人と組むこと。これがJETROの英国の事例と輸出統計から読み取れる基本です。

  1. 国と地域を数字で選ぶ。 農林水産省の品目別・国別の輸出統計は無料で公開されています。緑茶なら米国と欧州、牛肉なら米国と台湾、ビールなら韓国と中国、と売れている場所は品目ごとに違います
  2. 規制と表示を先に確かめる。 食品添加物、残留農薬、原産地表示、ハラール認証など、国ごとのルールが違います。JETROの国別情報で、輸出前に確認しましょう
  3. 名前を守る。 和牛統一マークのように、産地や品質を示す仕組みを使うと、似た名前の商品との違いを説明しやすくなります
  4. 作り方まで説明できる言葉を用意する。 「覆いを掛けて育てる」「蔵で一年寝かせる」など、手間の理由を短い英語で言えるようにしておきます。価格の理由が伝わります
  5. 供給量を約束しすぎない。 抹茶のように需要が急に伸びると、生産が追いつかず、信頼を損ないかねません。増産にかかる年数を先方に伝えておきます
  6. 現地の人と組む。 英国で大きく育った日本食チェーンは、いずれも日本人以外が創業し、現地の投資家とともに店を増やしました。JETROの資料も、日系チェーンで10店舗を超えたところはないと指摘しています
  7. 公的な窓口を使う。 JETROのほか、農林水産省の輸出支援プラットフォーム「GFP」が、輸出に取り組む事業者の相談に応じています

よくある失敗

  • 海外の「日本食ブーム」を一括りにして、売れる国と品目を確かめずに出ていく
  • 「本物の日本産」を強調するだけで、なぜ高いのかを説明できない
  • 現地で人気の食べ方(抹茶ラテ、カツカレー)を「本来の和食ではない」と否定してしまう
  • 為替が有利な時期だけを前提に価格を決める

よくある質問

Q. 海外の日本食レストランは何店ありますか? A. 農林水産省の調査で、2025年は約18.1万店です。2023年の約18.7万店から初めて減りました。調査は2年ごとに行われています。

Q. 抹茶と粉末緑茶の違いは? A. 抹茶は、覆いを掛けて育てた茶葉を揉まずに乾かした「てん茶」を挽いたものです。普通のせん茶を粉にしたものとは、原料も手間も違います。

Q. 「Wagyu」と書いてあれば日本産ですか? A. いいえ。海外で育てられた「WAGYU」も多く流通しています。日本産かどうかは、店や販売者に確かめましょう。

Q. 日本のカレーはインド料理ですか? A. 明治時代に英国経由で伝わったカレーが、日本の家庭で「ご飯にかける、とろみのある料理」として育ったものです。農林水産省は、日本海軍が英国海軍の料理を取り入れたという説を紹介しています。

Q. 海外から日本の食材を買うとき、何に気をつければいいですか? A. 原材料、産地、製造者、賞味期限を確かめ、抹茶や味噌は小さめの容量を選ぶと鮮度を保ちやすくなります。日本旅行中に買うなら、築地場外市場のガイドも参考にどうぞ。

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出典と確認日(2026-10-26)

J-Times 編集部(2026年10月26日時点の情報)

#food exports#Inbound#Japanese food#katsu curry#matcha#miso#wagyu

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