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日本の防災から世界は何を学べるのか — 地震の多い国の仕組み・教訓・今日からできる備え
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日本の防災から世界は何を学べるのか — 地震の多い国の仕組み・教訓・今日からできる備え

M6以上の地震の約2割が起きる国の、緊急地震速報・耐震基準・釜石の防災教育・災害関連死・仙台防災枠組。旧版の数字を一次資料で確かめ直し、今日からの備えをチェックリストに

J-Times Editorial

J-Times 編集部 / J-Times Editorial Team

2026年3月25日更新: 2026年10月26日16 min429 閲覧
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日本は世界のM6以上の地震の約2割が起きる国。緊急地震速報、耐震基準、釜石の防災教育、仙台防災枠組や世界津波の日など、日本が犠牲の上に積み上げてきた仕組みと、その限界(災害関連死)、今日からできる備えを一次資料で確かめた。

この記事を読むと +5 MTC を獲得できます

答え(2026-10-26時点):日本は、世界のマグニチュード6以上の地震の約2割が起きる国です。緊急地震速報、耐震基準、学校の防災教育、国連での防災の枠組みづくりを通じて、多くの教訓を世界と分け合ってきました。ただし「日本の防災が世界を救っている」と言える根拠はなく、日本自身もいまだに地震のたびに命を失っています。とくに、避難生活のなかで亡くなる「災害関連死」は大きな課題です。世界が学べるのは完成品ではなく、多くの犠牲の上に積み重ねてきた「仕組みと習慣」です。

この記事は2026年3月に公開した記事を、官公庁の資料などで確かめ直して書き改めたものです。旧版の「年間約1500回の有感地震」「世界の地震エネルギーの約10%」「メキシコ・チリ・トルコが日本の技術を導入」などは、数字が違っていたか出典を確認できなかったため改めました(末尾「この記事で直した点」)。

地震のあと、倒れた家の前で片付けをする人、避難所で炊き出しをする人、何十年も前の津波を石碑に刻んで伝えてきた人。日本の防災は、技術だけでなく、こうした名もない担い手の積み重ねでできています。以下では、よく聞かれる問いに順に答えます。旅行中に地震にあったときの具体的な動き方は、日本で緊急事態にあったら? 110・119・#7119と訪日外国人向けホットライン、地震・避難のときにすることにまとめています。

鈴川港公園の津波避難タワー。鉄骨の階段が最上部の避難スペースまで続く。写真:くろふね / Wikimedia Commons / CC BY 4.0(2026年10月10日撮影)
鈴川港公園の津波避難タワー。鉄骨の階段が最上部の避難スペースまで続く。写真:くろふね / Wikimedia Commons / CC BY 4.0(2026年10月10日撮影)

写真:くろふね / Wikimedia Commons / CC BY 4.0

日本はどれくらい地震が多いのか?

国土は世界の約0.25%なのに、2003〜2013年に世界で起きたM6以上の地震1,758回のうち326回(18.5%)が日本周辺で起きました(内閣府『平成26年版防災白書』の集計)。

気象庁のまとめでは、2025年に国内で震度1以上を観測した地震は4,456回(2024年は3,678回)、M6.0以上の地震は22回(2024年は30回)でした。M6.0以上は、1919〜2025年の107年間の中央値が年16回です。

数字を読むときの注意もあります。気象庁自身が、震度1以上の回数は近年震度計が増えたことを考えて比べる必要があると書いています。2024年は能登半島地震、2025年はトカラ列島近海の活動が回数を押し上げました。旧版にあった「年間約1500回」は近年の実数より少なく、「世界の地震エネルギーの約10%」は根拠になる一次資料を見つけられませんでした。

2026年7月28日には、熊本県熊本地方でM7.1(速報値)の地震が起き、宇城市と氷川町で震度7を観測しました。最大震度7は2024年1月の能登半島地震以来です。

緊急地震速報は何をしてくれて、何ができないのか?

震源の近くでとらえた最初の小さな揺れ(P波)から震源と規模を自動で推定し、強い揺れ(S波など)が届く前に知らせる仕組みです。一般向けは2007年10月1日に始まりました。ただし、震源に近い場所では原理的に間に合わないことがあります。

気象庁によると、P波は秒速約7km、強い揺れをもたらすS波は秒速約4kmで伝わります。この差を使い、気象庁の約690か所と防災科学技術研究所の約1,000か所の観測点のデータを解析しています。

一般向けの「警報」は、2点以上の観測点で地震波をとらえ、最大震度5弱以上(または長周期地震動階級3以上)が予想されたときに、震度4以上が予想される地域に出ます。具体的な予測震度や「あと何秒」は発表しません。予測には震度で±1程度の誤差があり、地域によって猶予時間が大きく違うためです。

聞こえたら、まず身を守り、揺れがおさまるまで無理に動かないこと。屋内・屋外・運転中それぞれの動き方は緊急事態の記事の「緊急地震速報が鳴ったら、どう動く?」を見てください。

旧版の「数秒が数千人の命を救う」「メキシコ、チリ、トルコが日本の技術を導入し始めている」は、裏づけになる資料を確認できなかったため削りました。

耐震基準は本当に効いているのか?

効いています。2016年の熊本地震で震度7を2回観測した益城町中心部の木造建物1,955棟の調査では、倒壊率は1981年5月以前の「旧耐震」で28.2%、1981年6月〜2000年5月で8.7%、2000年6月以降で2.2%でした。裏を返せば、古い家は今も危ないということです。

この数字は、日本建築学会の全数調査を、国土交通省と建築研究所が設けた原因分析委員会が分析したものです(2016年9月30日に報告書)。日本の建築基準は、1981年の「新耐震基準」、2000年の木造住宅の基準強化と、大地震のたびに見直されてきました。

2026年の熊本の地震でも、国土交通省の専門家委員会で「築45年を超える旧耐震基準の木造住宅に倒壊被害が目立つ」という現地調査の結果が示されています(原因の分析は続いています)。旧版の「震度7でも倒壊しない建物が当たり前」は言い過ぎでした。

2011年の東日本大震災では、岩手・宮城・福島3県の犠牲者の死因の90%以上が溺死でした(警察庁発表、『平成23年版防災白書』)。揺れに耐えた建物が多かった一方、多くの命を奪ったのは津波でした。

住む人ができること: 自宅が1981年5月以前に建てられたなら、市区町村の窓口で耐震診断について相談してください。背の高い家具は固定し、寝る場所のそばに倒れてくる物を置かないこと。

「釜石の出来事」は何を教えてくれるのか?

2011年の津波のとき、岩手県釜石市では約3,000人(文部科学省の研修資料などでは2,926人)の小中学生のうち、学校を休んでいた5人を除く全員が避難して助かりました。亡くなった子どもがいることから、市や内閣府は「奇跡」ではなく「釜石の出来事」と呼んでいます。

支えたのは、片田敏孝教授(当時・群馬大学)の助言で市・教育委員会・学校が続けてきた防災教育です。内閣府は、釜石の子どもたちが「津波避難の三原則」を忠実に実行した結果だと紹介しています。

  • 想定にとらわれるな。 ハザードマップは「あくまで予想」。安全とされる場所でも油断しない。
  • その状況下で最善をつくせ。 最初に逃げた場所が一番安全とは限らない。より安全な場所へ移り続ける。
  • 率先避難者たれ。 「自分は大丈夫」を捨て、自分から逃げる。その姿が周りの避難を促す。

地震が起きたのは下校後で、先生の指示を待てない子も多かったといいます。中学生が小学生の手を引いて逃げた背景には、ふだんからの小中合同の避難訓練がありました。

災害で亡くなるのは「揺れの瞬間」だけか?

違います。2024年の能登半島地震の死者は2026年8月31日時点で755人。建物の倒壊などによる直接死228人に対し、避難生活などで体調を崩して亡くなった「災害関連死」は527人と、2倍を超えています。

2016年の熊本地震でも、死者278人の大半が関連死でした(内閣府の大臣会見での質疑では関連死は約220人)。

国は2025年12月19日、首都直下地震の新しい被害想定を公表しました。都心南部直下のM7.3を想定した最悪の死者は約1万8,000人で、2013年の想定(約2万3,000人)より減りました。一方で、初めて推計した災害関連死は1万6,000〜4万1,000人です。耐震化で「揺れで死ぬ人」は減らせても、避難のあとの暮らしで亡くなる人をどう減らすかが、日本の次の宿題です。

だから防災は「逃げる」だけでは終わりません。水、トイレ、常備薬、暑さと寒さへの備えが、避難のあとの命を守ります。

日本は世界に何を差し出してきたのか?

国連の防災の約束づくりの場を担ってきました。2015年3月、仙台で開かれた第3回国連防災世界会議で「仙台防災枠組2015-2030」が採択され、死者数や経済被害を減らすなど7つのグローバルターゲットが決まりました。

前身は、2005年の神戸(兵庫)での会議で採択された「兵庫行動枠組」です。2015年12月には、日本を含む142か国の共同提案を経て、国連総会が11月5日を「世界津波の日」と定めました。由来は1854年の安政南海地震の際、和歌山県の広村で濱口梧陵が稲むらに火を放ち、村人を高台へ導いたという「稲むらの火」の話です。

一方で、「日本の防災が世界を救った」と数字で示すのは困難です。仙台防災枠組の進み具合は、各国の報告をもとに国連が追っている途中です。日本が差し出せるのは、成功例と同じだけ、失敗と犠牲から学んだ記録です。

先人の教訓をどう残しているのか?

国土地理院は2019年、過去の津波や洪水を刻んだ石碑を地図に載せる「自然災害伝承碑」の記号をつくりました。新しい地図記号は2006年以来、13年ぶりでした。

石碑は、その土地で起きたことを、その土地の人が忘れないために建てたものです。地図に載せることで、引っ越してきた人や旅行者も、足もとの歴史を知ることができます。地理院地図で近所の碑を探してみるのも、身近な防災の第一歩です。

日常のインフラは災害時にどう動くのか?

2017年7月1日、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートなど小売7社が、災害対策基本法の「指定公共機関」になりました。小売業の指定は初めてで、緊急通行車両の事前登録などができるようになりました。

東日本大震災や熊本地震で、物資の配送や店の早期再開が果たした役割が評価されたためです(コンビニの日常の仕組みは世界が認めた日本のコンビニも参照)。ただし、店そのものが被災して閉まることもあります。「コンビニがあるから大丈夫」と考えず、家にも備えておきましょう。旧版にあった「災害対応自販機」は、今回は出典を確かめきれなかったため割愛しました。

南海トラフや首都直下の「確率」はどう読めばいいのか?

南海トラフ地震の今後30年以内の発生確率は、2025年9月26日に地震調査委員会が見直し、「60〜90%程度以上」と「20〜50%」の2通りが並べて示されています。計算方法の違いによるもので、危険が下がったわけではありません。

2024年8月8日には、日向灘のM7.1の地震(宮崎県で震度6弱)を受けて、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて出ました。政府の特別な呼びかけは8月15日に終わりました。臨時情報は、地震が起きる日時を知らせる「予知」ではありません。

首都直下では、M7程度の地震が30年以内に70%程度の確率で起きるとされています。確率は「何年後に起きるか」ではなく、「いつ起きても不思議ではない」という前提で読むのが現実的です。

今日からできる備え(チェックリスト)

住む人・長く滞在する人

  • 水を1人1日3リットル、最低3日分、できれば1週間分(農林水産省の目安)
  • 食品は、ふだん食べる物を少し多めに買い、使った分を買い足す「ローリングストック」で
  • 重ねるハザードマップで、自宅・職場・学校の浸水・土砂災害・津波の想定を確認する
  • 家族で連絡方法と集合場所を決める
  • 旧耐震の家なら、耐震診断を相談する

旅行で来る人

  • 緊急番号、訪日外国人向けホットライン、避難場所と避難所の違いを緊急事態の記事で確認する
  • 海沿いでは、宿や駅の近くの高台や津波避難ビルの場所を見ておく
  • 水道が止まったときの水の備えは、日本の水道水の記事も参考に

よくある失敗

  • 備蓄を買ったまま期限切れにする(ローリングストックで回す)
  • ハザードマップの「色のない場所」を安全保証だと思い込む(三原則の一つめ「想定にとらわれるな」)
  • 確率の数字の上がり下がりで備えをやめる

よくある質問

Q. 地震が多い国だけど、旅行しても大丈夫? A. 地震の危険はゼロではありませんが、ほとんどの旅はトラブルなく終わります。緊急番号と、緊急地震速報・津波警報が出たときの動き方を知っておけば、いざというときに慌てずにすみます。

Q. 震度とマグニチュードはどう違う? A. マグニチュードは地震そのものの規模、震度はその場所での揺れの強さです。同じ地震でも、場所によって震度は変わります。

Q. 緊急地震速報が鳴ったのに、ほとんど揺れなかったのはなぜ? A. 予測には震度で±1程度の誤差があります。気象庁は、予想震度が下がっても速報を取り消しません(取り消すのは落雷などによる誤報のときだけです)。

Q. 南海トラフ地震はいつ起きるの? A. 日時を予知する方法はありません。確率は「30年以内に起きる見込みの高さ」を示すもので、明日起きることも、30年以上起きないこともありえます。

Q. 「釜石の奇跡」と呼ぶのは間違い? A. 間違いとまでは言えませんが、釜石市や内閣府は、亡くなった子どもがいることを踏まえて「釜石の出来事」という呼び方を使っています。

この記事で直した点

  • 「年間約1500回の有感地震」→ 気象庁の2024年3,678回・2025年4,456回に置き換え、比較の注意を追記
  • 「世界の地震エネルギーの約10%」→ 確認できず削除。防災白書の「M6以上の18.5%」に置き換え
  • 「メキシコ、チリ、トルコが日本の技術を導入」「数秒が数千人の命を救う」→ 確認できず削除
  • 「震度7でも倒壊しない建物が当たり前」→ 熊本地震の建築年代別の倒壊率に置き換え
  • 「釜石の奇跡(ほぼ全員が生存)」→ 人数と「釜石の出来事」という呼び方を追記
  • 「災害対応自販機」→ 出典を確かめきれず割愛
  • 新たに、災害関連死、仙台防災枠組、世界津波の日、自然災害伝承碑、南海トラフの確率見直し、備えのチェックリストを追加

出典と確認日(すべて2026-10-26に確認)

文・J-Times 編集部(2026-10-26時点の情報)

#disaster preparedness#earthquake#Japan safety#Kamaishi#Sendai Framework#tsunami

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