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J-Times 編集部 / J-Times Editorial Team
日本で4が不吉とされるのは、音読みの「し」が「死」と同じ音だから。9も「く」が「苦」に通じる忌み数だ。病院の部屋番号や祝い事の贈り物では今も避けられる一方、4階のある病院も多い。辞典・病院・百貨店・香港政府・学術研究をもとに、慣習と俗説を分けて解説する。
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なぜ日本では「4」が不吉なのか — 「死」と同じ音の数字は、今どこで避けられているか
答え(2026-09-23時点):日本で4が不吉とされるのは、音読みの「し」が「死」と同じ音だから。9も「く」が「苦」に通じるため、同じく忌み数とされている。
理由そのものは一行で済む。辞典にもそう書いてある。本当に知りたいのはその先だろう。4は今、どこで、どれくらい避けられているのか。逆に、気にされていない場面はどこか。「4の日には亡くなる人が増える」といった話は本当か。本稿は、国語辞典と百科事典、病院が公開している病室一覧、百貨店の贈答ガイド、香港政府の建築指針、英国医師会雑誌(BMJ)の論文を突き合わせて、慣習として確かめられることと、俗説にとどまることを分けて示す。
なぜ「4」は縁起が悪いとされるのか
「四」を音読みすると「し」で、「死」と同じ音になる。このため4は「忌み数(いみかず)」、つまり忌み嫌って避ける数とされてきた。9も「く」と読むと「苦」に通じるので、同じ扱いを受ける。
忌み数という言葉は、主要な国語辞典に載っている。『デジタル大辞泉』は「忌み嫌われる数。四(死)や九(苦)など」、『精選版 日本国語大辞典』は「忌み避ける数。四(死)、九(苦)などの類」と説明する。どちらもコトバンクで読める。小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』はさらに踏み込み、数の吉凶の多くは「ことばの音が不吉なことに通じるのを理由にしていわれている」と書く。4や9は、形でも意味でもなく、音で嫌われているということだ。
同じニッポニカの項目は、4にまつわる俗信も挙げている。四の日に旅立ちや引っ越しをしてはいけない。四の日に床につくと長患いする。語呂合わせは組み合わせにも広がり、四九は「死苦」として忌まれた。平凡社『百科事典マイペディア』は、42を「死に」に通じる数として加えている。
ただし、この語呂合わせは読み方が「し」のときにしか成り立たない。4には音読みの「し」と訓読みの「よん」がある。文部科学省の日本語学習用教材「つながるひろがる にほんごでのくらし」の数字の表も、4を「よん/し」、9を「きゅう/く」と併記している。日常会話では「よん」を使う場面が多い。同志社女子大学の吉海直人特任教授は、コラムで「四」は「し」が聞き取りにくいのか「よん」と読むケースが少なくないと書いている。「死を避けるために『よん』と言う」という説明はよく聞くが、今回確かめた辞典や大学の資料は、それが理由だとは述べていない。だから本稿もそうは書かない。聞き取りやすさという実用上の理由もありうる、というところまでが確かめられる範囲だ。
4と9は、今どこで避けられているのか
今もはっきり目に見えるのは、病院の部屋番号と、祝い事の贈り物である。ただし決まりではなく慣習で、4階のある病院も普通にある。
病院。 いちばん確かな手がかりは、病院自身が公開している病室の一覧だ。茨城県日立市のひたち医療センターは、4階・5階・6階の病室番号をホームページに載せている。まず、4階は存在する。そのうえで4階の病室は401、402、403、405、406、407、408、410……と並び、404、409、414、419がない。5階・6階も、末尾が4と9の番号が同じように抜けている。病院はその理由を書いていないが、4と9を避ける慣習とぴったり重なる並び方である。
とはいえ、どの病院もそうしているわけではない。看護師向けサイト「看護roo!」が2020年1月31日から2月21日にかけて行ったアンケートでは、「4階」「9番」「13号室」のように縁起が悪いとされる番号が勤務先の病院にあるかを尋ね、1,688票のうち65%が「ある」、24%が「ない」、9%が「その他」と答えた。サイト利用者の投票で無作為抽出の調査ではないが、「4や9を使っている病院も多く、避けている病院もある」という点は、ひたち医療センターの例と矛盾しない。4階は存在していて、欠けているのは部屋番号のほうだ。この形が実態に近いと考えられる。
贈り物。 旅行者にいちばん関係するのはここだろう。大丸松坂屋百貨店の贈答ガイドは、「4、9」を凶数とし、「死」「苦」の不吉なイメージを連想させるため、お祝いごとの際には避けなければならないと書く。吉数は3、5、7、8。偶数は「割れる」「別れる」を連想させるものの、ペア(2個)や半ダース、1ダースは1組と数えるので慶事にも向くという。ニッポニカも、贈答品では「四、六、八を避け、三、五、七、九をよしとしている」と記す。8と9の扱いは両者で食い違っており、地域や場面によって違いがあると見るのが妥当だ。4を避ける点だけは両者で一致している。大丸松坂屋のガイドは、マナーから外れることを「極端に恐れる必要はありません」とも添えている。知っておけば十分、という温度感である。
確かめられなかったこと。 マンションやホテルで4号室や9号室を欠番にする例は、ネット上の記事では定番の話題だ。しかし、どの程度広がっているかを示す公的な資料は見つからなかったので、本稿では割合や傾向を書かない。自動車のナンバープレートで下2桁42・49が希望しない限り払い出されないという話も、複数のメディアが報じているが、国土交通省の資料で根拠となる規定を確認できなかったため扱わない。
中国・韓国の「4」や、西洋の「13」とは何が違うのか
4を避ける感覚は東アジアに共通している。中国語や韓国語でも「四」と「死」が似た音になるからだ。西洋の13が宗教上の言い伝えに由来するのとは、成り立ちが違う。
4を嫌うのは日本だけではない。カナダ・マギル大学の科学広報部門(Office for Science and Society)は、広東語と北京語でも「四」と「死」の発音が同じか似ていると説明している。後で紹介するBMJの論文も、「中国人と日本人は4を不吉と考える」ことを前提に研究を組み立てた。韓国語では、漢字語の「四」も「死」も「サ(사)」と発音する。韓国政府の公式ポータル「Korea.net」に載った寄稿記事は、多くの建物がエレベーターの4階を「F」と表示していること、韓国の病院では4階を見かけないことを紹介している。ただしこれは政府の方針ではなく、寄稿者による記事である。
公的な根拠がいちばんはっきりしているのは香港だ。香港政府の屋宇署(建築局)は、階数の番号が飛ぶと緊急時の消防・救急の妨げになり、住民や来訪者も混乱するとして、原則として連続した番号をつけるよう求めている。そのうえで実務指針(Practice Note ADV-3)は、「4」「13」と末尾が「4」の階については、長年の地元の慣習を踏まえて欠番を認めるとしている。それ以外の欠番は認めない。香港では、3階の次が5階、12階の次が15階というビルが、政府の認めた形で建てられていることになる。
西洋の13は、仕組みが違う。語呂合わせではない。ニッポニカによれば、西洋で13を嫌うのはキリストの最後の晩餐の席にいた者が13人だったことによるという。日本にも13にまつわる習俗はあり、同じ項目は、13が厄年の一つとされること、13人で船に乗るのを嫌う地方があることを挙げている。それでも、4と9を避ける日本の感覚の中心にあるのは、音である。
| 地域 | 主に避けられる数 | 理由 | どこで目にするか | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 4、9(42、49も) | 四=し=死、九=く=苦 | 病院の部屋番号、祝い事の贈り物 | ニッポニカ・デジタル大辞泉(コトバンク)/ひたち医療センター/大丸松坂屋 |
| 中国・香港 | 4(香港では13も) | 北京語・広東語で四と死が近い音 | 香港では建築指針が階数の欠番を容認 | 香港屋宇署/マギル大学OSS |
| 韓国 | 4 | 漢字語で四も死も「サ」 | エレベーターの「F」表示、病院の階 | Korea.net寄稿記事 |
| 欧米 | 13 | 最後の晩餐の13人に由来するとされる | 13階を飛ばすビルがある | ニッポニカ/Korea.net寄稿記事 |
「4の日には亡くなる人が増える」は本当か
2001年のBMJ論文は、在米の中国系・日系の人の心臓死が毎月4日に多いと報告した。だが翌2002年、同じ雑誌に載った再分析では別の年に同じ傾向は見られなかった。現時点では「確かめられていない」と扱うのが妥当だ。
発端は、デイヴィッド・フィリップスらが2001年にBMJに発表した論文「バスカヴィル家の犬効果」である。題名は、シャーロック・ホームズの物語で、恐怖のあまり心臓発作で死ぬ人物にちなむ。研究は1973年から1998年の米国の死亡記録を使い、中国系・日系アメリカ人20万9,908人と、白人アメリカ人4,732万8,762人を比べた。中国系・日系では、慢性心疾患による死亡が毎月4日に予測の1.13倍(95%信頼区間1.06〜1.21)に達し、白人では同じ山が見られなかった。著者らはこれを、心理的なストレスが死期を早めうることを示す結果と解釈した。
これに対し、ポモナ大学のゲアリー・スミスは2002年、同じBMJに「Scared to death?」を発表した。マギル大学OSSのまとめによれば、スミスは同じ慢性心疾患の分類でも1969〜1988年と1999〜2001年には4日の山を確認できず、4日に事故や自殺が増える傾向も見つからなかった。さらに、元の研究がどの死因を集計に含めたかという選び方にも疑問を示している。つまり、「死の日」効果は、ある期間の、ある分け方をしたデータにだけ現れた結果だった。4を嫌う風習があることは確かだ。しかし、その風習が人の死を増やすという話は、証明されたとは言えない。
旅行者は「4」について何に気をつければいいのか
祝い事の贈り物で4個・9個の組み合わせを避ければ、ほぼ十分だ。それ以外は気にしすぎなくていい。4階の部屋に泊まることを心配する必要もない。
- 詰め合わせを選ぶとき。 4個入りより3個か5個入りを選ぶ。大丸松坂屋のガイドは3、5、7を吉数、4と9をお祝いで避ける数としている。夫婦へのペアグラスのような「2個1組」は、同じガイドで慶事に適するとされている。
- お祝い金を包むとき。 同じガイドは、末広がりの「8」にちなんで結婚祝いに8万円を贈る例もあると紹介している。4や9のつく金額は避けておくのが無難だろう。
- 病院やホテルで。 404号室や409号室がなくても驚かなくていい。ひたち医療センターの病室一覧のように、患者や客への配慮として番号を飛ばす施設がある。建物に何か問題があるわけではない。
- ふだんの会話で。 数を数えるときに「し」でなく「よん」と言うのは、多くの場面で普通の日本語だ。旅行者が気にすることはない。
贈り物の渡し方やお土産の習慣など、贈答マナー全体は日本のマナー完全ガイドにまとめている。ご飯に箸を立てないなど、「死」を連想させるものを避ける作法は日本のタブー集でも取り上げた。
日本の「4」についてよくある質問
Q. 日本では本当に4は縁起が悪いのですか。 A. はい。国語辞典は4を「死」に通じる忌み数として説明しています。2026-09-23時点でも、病院の部屋番号や祝い事の贈り物で避ける慣習が確認できます。
Q. 9も縁起が悪いのはなぜですか。 A. 「九」を「く」と読むと「苦」と同じ音になるからです。辞典は4と並べて、9を忌み数の代表例に挙げています。
Q. 日本の建物には4階がないのですか。 A. 4階がある建物は普通にあります。たとえばひたち医療センターは4階に病棟があり、飛ばしているのは末尾が4と9の部屋番号です。看護roo!の2020年のアンケートでは、65%が勤務先に「4階」「9番」「13号室」などの番号があると答えました。
Q. 日本でも13は不吉ですか。 A. 4ほどはっきりしていません。ニッポニカは、13が厄年の一つとされることや、13人で船に乗るのを嫌う地方があることを紹介しています。ただし、4と9を避ける日本の慣習の中心にあるのは音の連想で、西洋の13とは由来が違います。
Q. 4個入りのお菓子を贈るのは失礼ですか。 A. 結婚や出産などのお祝いでは避けたほうが無難です。百貨店の贈答ガイドも4と9を避けるよう勧めています。同じガイドは「極端に恐れる必要はありません」とも書いていますが、3個か5個を選べば安心です。
出典・確認日(すべて2026-09-23に確認)
- コトバンク「忌み数」—『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館(執筆:大藤時彦)。四=死・九=苦、四の日の俗信、贈答品、13と最後の晩餐 — https://kotobank.jp/word/%E5%BF%8C%E3%81%BF%E6%95%B0-1505837
- コトバンク「忌数」—『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』『百科事典マイペディア』(42・49、欧米の13) — https://kotobank.jp/word/%E5%BF%8C%E6%95%B0-32261
- 文部科学省「つながるひろがる にほんごでのくらし」数字(numbers)教材(4=よん/し、9=きゅう/く) — https://tsunagarujp.mext.go.jp/assets/download/numbers_ver202404.pdf
- 同志社女子大学 教員コラム(吉海直人、2020年2月17日)数字の音読み・訓読み — https://www.dwc.doshisha.ac.jp/research/faculty_column/12393
- 社会医療法人愛宣会 ひたち医療センター「病室のご案内」(4〜6階の病室番号) — https://www.hitachi-mch.or.jp/pages/31/
- 看護roo!「あなたの病院に『4』『9』『13』の数字はある?」(2020年1月31日〜2月21日、1,688票) — https://www.kango-roo.com/yn/details/622/
- 大丸松坂屋オンラインストア「カタログギフト よくある質問(贈る側)」(吉数・凶数) — https://www.daimaru-matsuzakaya.jp/gift/cataloggift/chishiki20/
- 香港特別行政区政府 屋宇署 Practice Note ADV-3「Floor Numbering」(4・13・末尾4の階の欠番を容認) — https://www.bd.gov.hk/doc/en/resources/codes-and-references/practice-notes-and-circular-letters/pnap/ADV/ADV003.pdf
- 香港特別行政区政府 屋宇署 プレスリリース(2010年4月16日) — https://www.bd.gov.hk/en/whats-new/press-releases/2010/0416-new-guidelines-on-floor-numbering-in-buildings-proposed.html
- Korea.net(大韓民国政府公式ポータル)寄稿記事「The Number 4 in Korean Culture」Sherry Osborne — https://www.korea.net/Events/Overseas/view?articleId=17767
- Korea.net 名誉記者記事「11 Korean superstitions that persist to this day」Dovletoglou Eftychia — https://www.korea.net/NewsFocus/HonoraryReporters/view?articleId=191095
- Phillips DP ほか「The Hound of the Baskervilles effect」BMJ 2001;323:1443–1446. doi:10.1136/bmj.323.7327.1443 — https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC61045
- Smith G「Scared to death?」BMJ 2002;325:1442–1443. doi:10.1136/bmj.325.7378.1442 — https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC139029
- マギル大学 Office for Science and Society、Jonathan Jarry「The Number Four Kills Again… Or Does It?」(2018年1月4日) — https://www.mcgill.ca/oss/article/general-science/number-four-kills-again-or-does-it
文・J-Times 編集部(2026-09-23時点の情報)
アイキャッチ画像: Mk2010 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 (https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Tetraphobia_(no_button_for_4th_floor_in_an_elevator).jpg)
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