J-Times Editorial
J-Times 編集部 / J-Times Editorial Team
若狭塗は、福井県小浜市で江戸時代初めに生まれた漆器。卵の殻や貝殻、松葉で模様を付け、色漆を塗り重ねて砥石で研ぎ出す。1978年2月6日に国の伝統的工芸品に指定された。塗箸の長さの選び方、食洗機や浸け置きを避ける手入れ、夫婦箸を贈るときの注意点を、国と産地の資料からまとめた。
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若狭塗とは? 研ぎ出しの塗箸の選び方と手入れ
答え(2026-10-02時点):若狭塗は福井県小浜市の漆器で、貝殻や卵殻の模様を研ぎ出すのが特徴。1978年に国の伝統的工芸品に指定された。塗箸は手で洗い、浸け置きと食洗機は避ける。
開示: J-Times と Matsuri は、どちらも Jon&Coo Inc. が運営しています。記事の最後で Matsuri のショップに出ている夫婦箸を紹介しています。商品の情報は 2026年10月2日時点のものです。
赤や黒の地に、金箔や貝のかけらがきらりと光る箸。贈り物でもらったことのある人も多いと思います。その多くは、日本海に面した福井県小浜市でつくられています。この記事では、若狭塗がほかの漆器とどう違うのか、「塗箸の8割」という数字が何を指しているのか、そして塗箸の選び方・洗い方・贈り方を、国と産地の資料をもとに整理します。

若狭塗とはどんな漆器?
若狭塗は、福井県小浜市を主な産地とする漆器。海の底を思わせる模様を、塗り重ねた漆から研ぎ出してつくる。
伝統的工芸品産業振興協会(東京・赤坂の「伝統工芸 青山スクエア」の運営団体)は、若狭塗の主な製品として花器・茶器・酒器・箸箱を挙げ、主要製造地域を小浜市としています。特徴の説明はこうです。卵の殻、青貝、松の葉、檜の葉、菜種などで模様をつくり、海底の様子をあらわす。そこに星や宝石のように金箔が光る。手仕事なので同じ品は二つとない、と。
いつ、どうやって生まれた?
江戸時代の初め(17世紀)、小浜藩の塗師が中国の漆器づくりに着想を得て、海底の景色を図案にしたのが始まりとされる。
協会によると、小浜藩の漆塗りの職人が中国の漆器の技法をヒントに海底の様子を図案化し、改良を重ねて「菊塵塗(きくじんぬり)」が生まれました。その弟子が「磯草塗(いそくさぬり)」を考案し、17世紀の中頃には卵の殻や金箔・銀箔で飾る、今に伝わる方法が完成します。藩主がこれを「若狭塗」と名付け、足軽の内職として保護・奨励しました。
福井県の箸メーカー兵左衛門も同じ由来を紹介しており、始めた職人を小浜藩の御用塗師・松浦三十郎としています。同社によれば、江戸の中期から後期が若狭塗の黄金時代で、箔押し・研出し・螺鈿・蒔絵など200種類以上の塗りの手法が完成しました。
模様はどうやってつくる?
先に模様を仕込み、色漆と金箔を塗り重ねてから、砥石と炭で研いで模様を浮かび上がらせる。これが「研ぎ出し」。
協会の工程紹介では、若狭塗は約60の工程を経てつくられます。主な流れは次のとおりです。
- 下地づくり。 継ぎ目に布を貼ってゆがみや割れを防ぎ、生漆に地の粉(粘土を焼いた粉)とのりを混ぜたものを塗って表面を平らにする。
- 模様付け。 卵殻・貝殻・松葉・菜種などで、職人それぞれの意匠の模様を付ける。
- 合塗り・箔置き。 色漆を2色以上塗り重ね、その上に金箔を置く。
- 塗込み。 さらに漆を塗り重ねて強さを持たせる。
- 研ぎ出し・仕上げ。 荒砥石・中砥石・仕上げ砥石の順に、模様が十分に出るまで研ぐ。最後に炭で研いで艶を出す。
協会は、1点の製作に約1年かかるとしています。国が定める若狭塗の技術・原材料の基準では、漆は天然漆とすること、箸の木地はサクラ・シタン・モウソウチク、またはこれらと同等の材質とすることが決められています。

国の伝統的工芸品に指定されたのはいつ?
若狭塗が経済産業大臣の指定する伝統的工芸品になったのは、1978年(昭和53年)2月6日。
この日付は、協会の若狭塗のページと、経済産業省が公開している指定品目一覧の両方で確認できます。経済産業省によると、指定を受けた伝統的工芸品は2025年10月27日時点で244品目です。指定の要件は五つあります。主に日常生活で使うものであること、製造の主要部分が手工業的であること、伝統的な技術・技法でつくること、伝統的な原材料を主に使うこと、一定の地域で少なくない数の人がつくっていること、です。
指定の対象は工芸品としての「若狭塗」で、「若狭」と名の付く品すべてではありません。産地の検査に合格した製品には、国の「伝統マーク」を使った「伝統証紙」を貼ることができ、証紙は協会が発行しています。
「塗箸の8割は若狭」は本当?
産地側の資料ではそうなっている。協会は「若狭は全国の塗箸の8割以上を生産」と書き、福井県の公式観光サイトも「日本の塗箸の8割以上が小浜市でつくられている」としている。
ただ、この数字の扱いには注意が要ります。どちらの資料にも、いつの数字かは書かれていません。また、対象は小浜の産地でつくられる塗箸全体で、伝統的工芸品の基準を満たす若狭塗だけの数字ではありません。兵左衛門の年表では、小浜市の箸産業の生産量が日本一になったのは1978年、つまり伝統的工芸品の指定と同じ年です。「約8割」は産地の公称値として受け取り、年次のある統計とは区別しておくのが安全です。
塗箸はどう選べばいい?
手に合った長さを選び、口に入る箸先の塗りを確かめる。伝統的工芸品の若狭塗が欲しいなら伝統証紙を目印にする。
- 長さは「一咫半(ひとあたはん)」が目安。 親指と人差し指を直角に広げ、指先どうしの長さ(一咫)を測って1.5倍にします。兵左衛門と、小学館の子育てサイト HugKum がこの目安を紹介しています。一咫が12cmなら18cmです。
- 箸先の塗り。 兵左衛門は、合成塗料に1滴でも漆を混ぜれば「漆」と表示できるのが現状だと指摘しています。気になる場合は、口に入る部分に何が塗られているかを販売者に確かめましょう。
- 伝統証紙。 産地の検査に合格した証です。証紙のない良い箸も多く売られているので、証紙がないことは確かめるきっかけにとどめ、それだけで判断しないようにします。
- 食洗機対応の表示。 若狭塗の柄でも「食洗機対応」と表示された箸があります。手入れは買った箸の表示に従います。
塗箸の手入れは? 食洗機は使える?
食後すぐに手でやさしく洗い、よく乾かして、日の当たらない場所にしまう。浸け置きはせず、「食洗機対応」の表示がない塗箸は食洗機に入れない。
兵左衛門の「お手入れ方法」は、理由まで書いていて参考になります。
- 手で洗う。 本物の漆は油汚れが落ちやすいので、さっと洗えば十分です。スポンジは柔らかい面を使います。何膳もまとめてジャラジャラ洗ったり拭いたりすると、こすれて塗りが傷みます。
- 浸け置きしない。 食後に長く水に浸けておくと、木地を傷める原因になります。
- 食洗機に入れない。 食洗機の多くは40〜50度で洗い、仕上げに80度近いお湯を使います。漆製品は温水に弱く、水流でこすれてしまいます。
- 日の当たらない場所にしまう。 漆や蜜蝋は紫外線で変色することがあります。陽の当たる箸立てより引き出しのほうが安心です。
- 傷んだら直す。 いちばん先にすり減るのは箸先です。天然漆の箸は塗り直しができ、折れた1本の修理や1本売りに応じるメーカーもあります。
食卓での箸の扱いについては、J-Times の日本の箸のマナーを参照してください。
夫婦箸とは? 贈り物にしていい?
夫婦箸は、少し長い一膳と少し短い一膳を組にした箸。結婚祝いや記念日の贈り物の定番になっている。
売り場を見るとよくわかります。高島屋のオンラインストアは、結婚祝いのギフトの中に「夫婦箸セット」を並べています。後で紹介する和選 Wa-Sen の商品説明も、結婚祝いや記念日の贈り物にと勧めています。贈答用には桐箱入りがよく選ばれます。贈るときは、どちらが長いほうを使うかを決めつけず、二人それぞれの手に合う長さを選ぶと実用的です。長さの目安には、上の一咫半が使えます。
若狭塗の箸はどこで見られる? どこで買える?
産地の小浜では、職人の実演を見たり、自分で研ぎ出しを体験したりできる。通販でも買える。
JR西日本の旅行情報サイトによると、小浜市の「御食国若狭おばま食文化館」では、職人の実演を見学でき、塗箸の研ぎ出しを体験できます。福井県の公式観光サイトは、若狭塗箸と若狭和紙を組み合わせた体験「若狭匠結び」を紹介しています。
通販では、Matsuri のショップに和選 Wa-Sen の「若狭塗 夫婦箸 楽うさぎ 桐箱入り」が出ています。

2026年10月2日時点の商品ページの内容は次のとおりです。
- 出品者: 和選 Wa-Sen(認証済み出品者)。この日の時点で注文を受け付けられる状態でした。
- 価格: ¥3,300(日本語表示)。表示言語や通貨を変えると金額の表示が変わることがあるため、最終的な金額は支払い画面で確かめてください。
- 在庫と発送: 残り8点、発送まで約7日。
- 配送: 国内発送のみ。海外の住所には送れません。旅行中の人は、宿泊先が宿泊客あての荷物を受け取ってくれるかと、滞在日数に間に合うかを先に確かめる必要があります。
- 書かれていないこと: 商品説明には「若狭塗」「職人が丹念に研ぎ出した上品な箸先」とあります。一方で、つくった工房、使っている漆の種類、伝統証紙の有無は書かれていません。気になる場合は、買う前に Matsuri の「メッセージ」から出品者に確かめてください。
商品ページのほかの見方は、Matsuri Shop の使い方にまとめています。
特集:Matsuri を使ってみる
- Matsuri とは? — 特集のハブ記事
- Matsuri Shop の使い方 — 商品ページの読み方・支払い・配送
- 若狭塗とは?(この記事)
出典・確認日
いずれも 2026年10月2日に確認。
- 伝統的工芸品産業振興協会「若狭塗」(由来・技法・技術基準・指定年月日・塗箸の生産割合):https://kougeihin.jp/craft/0518/
- 経済産業省「伝統的工芸品」(指定244品目・2025年10月27日時点)と指定品目一覧(若狭塗・昭和53年2月6日):https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/index.html / https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/xlsx/list_20251027.xlsx
- 経済産業省「伝統的工芸品の指定・指定の変更について」(五つの要件):https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/densan/designation.html
- 経済産業省「振興計画終了後の伝統的工芸品に関する伝統証紙表示事業実施要領」:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/nichiyo-densan/pdf/20240731hyoji.pdf
- 福井県観光連盟(ふくいドットコム)「Wakasa Takumi Musubi」(塗箸の8割以上が小浜市):https://www.fuku-e.com/en/attractions/detail_8291.html
- JR西日本「Miketsukuni Wakasa Obama Food Culture Museum」(塗箸の研ぎ出し体験):https://www.westjr.co.jp/global/en/ticket/hokuriku-arch-pass/Explore_Japan/spot/fukui/miketsukuni-wakasa-obama-food-culture-museum/index.html
- 兵左衛門「お手入れ方法」:https://www.hyozaemon.co.jp/about/care/ /「Q&A」(漆の表示・塗り直し):https://www.hyozaemon.co.jp/about/qa/ /「技法」(松浦三十郎・黄金時代):https://www.hyozaemon.co.jp/about/technique/ /「箸の作法」(一咫半):https://www.hyozaemon.co.jp/culture/saho/ /「箸の歴史」(年表):https://www.hyozaemon.co.jp/culture/history/
- HugKum(小学館)「箸の長さ」(一咫半):https://hugkum.sho.jp/446689
- 高島屋オンラインストア「結婚祝いのプレゼント:箸・箸置き」(夫婦箸セット):https://www.takashimaya.co.jp/shopping/gift/kekkoniwai/A18366/0500004882/200129/0500004903
- Matsuri 和選 Wa-Sen の商品ページと公開 API(価格・在庫・配送・受注可否):https://matsuri.group/ja/shop/p/wasen-meotobashi/
アイキャッチ画像: Asturio Cantabrio / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 (https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Wakasa_Lacquerware_chopsticks_ac_(3).jpg) — license checked on the Commons file page 2026-10-02
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